ターゲティング ―“誰でも来てください”では誰も来ません。―
2011.09.15
前回のテーマ「ブランディング」に続き、
今回は「ターゲティング」についてお話ししたいと思います。
ターゲティングとは、わかりやすく言うと、自分の商品やサービスを
誰に利用してほしいか、明確にターゲットを選定することをいいます。
サブタイトルの「“誰でも来てください”では誰も来ません。」
というのはマーケティング界の常套句ですが、
ある商売をする際に、顧客層の選定を行わず、「誰でも来てください!」
という立場を取っていては、結局誰も来ないということを意味しています。
こんな状況をイメージしていただくと、
わかりやすいのではないでしょうか。
例えば、あなたがひどい肩こりに悩まされているとします。
そんなとき、次のどちらの整体院を訪れたいと思いますか?
■ A整体院 「どんな症状も解消します!」
■ B整体院 「重度の肩こりに特化した整体をします!」
大抵の人はB整体院へ行きたいと思うはずです。
なぜなら、「私のための整体院」という印象を、
見込み客の心に与えるからです。
そうです、キーワードは「私のため」です。
「みんなのため」ではダメなのです。
とはいえ、「客層を問わずみんなに来てほしい!」という考えに
陥ってしまう人が少なくありません。
確かに、ターゲットを絞れば来てくれる層は限定されますし、
期待しているような集客が得られないのではないか、
という懸念が生じるのは無理もありません。
それに対して、年齢も性別も個性も問わず、
みんなが来てくれたらこんなにうれしいことはありませんね。
しかし、残念ながらそんなに都合のいいことはありえないのが現実です。
なぜなら、誰もが好みそうな、最大公約数から生み出した商品や
サービスでは、あらゆる人の個性や好みを平均化した、おもしろみの
ない陳腐なものになってしまうからです。
それに加え、どこに向けてPRすればよいかも定まらず、
効果的な経営戦略もまず見つからないでしょう。
だから、どんな人に利用してほしいかを明確にイメージし、
特定の顧客層に絞り込んで、見込み客に「私のためのサービスだ!」
と思ってもらえるようなニーズを見つけ、みずからのビジネスを確立
することがとても大切です。
ターゲット選定の仕方は色々ありますが、おおまかなところでは性別や
年齢層で絞る方法があります。若い女性に来てほしいとか、
サラリーマン世代の男性に来てほしいとか、そんな絞り方です。
また、自分の強みを生かした絞込みも非常に有効です。
例えば、前述の例のように、あなたが肩こりの解消を得意とする整体師
なら、肩こりに悩む人をターゲットにしたり、聞き上手であれば
身体の疲れとともに心の悩みをも抱えた人をターゲットにするなど、
自分にしかできないことを積極的に生かしたターゲティングには、
大きな効果が期待できます。
このように、顧客層を賢くスクリーニングすることで、
かえってお客様が増えるというパラドックスが成り立ちます。
理由はやはり、「私のため」という大きな訴求力が働くからに
他なりません。
現在、昔に比べて物やサービスは細分化しています。
言い換えると、ひとりひとりの好みや個性が掬い上げられ、
いわゆるマイナーな層もひとつの市場として成立し、
そこから新しいビジネスがどんどん生まれている時代だ、
ということです。
ツイッターやフェイスブック等のソーシャルメディアの普及により、
個人が情報を発信したり、つながりを通していくつものコミュニティが
できあがっていることがその理由でしょう。
このような背景のもとでは、ターゲティングで成功する人と
失敗する人が二極化するのではないかと考えられます。
まず難点を述べるなら、自分のビジネスの情報を、
標的となるターゲットに向けて的確に発信できるかどうか、
という問題があります。
市場が細分化した状況では、広告の効果も薄く、ターゲットに向けて
ピンポイントで情報を発信するためにどうすべきかが、これからの
課題となるでしょう。
一方、大きなチャンスが到来したという見方もできます。
膨大な費用をかけてマスメディアや広告会社を頼らなくても、
みずから情報を発信し、自分の仕事を好んでくれる人を
見つけ出せる可能性が横溢しているからです。
「整体」という分野でいえば、そこには様々な流派があり、
お客様の好みも非常に多岐に渡っています。
ですから、「私の整体はあまり好んでもらえないのかな?」
という不安を持っている人も、自分の整体の仕方を明確に伝え、
こういう人に受けてほしいと上手にアピールすれば、
選んでくれるお客様がきっと現れるでしょう。
要するに、自分に何ができるのかを明確にすること、
ニーズの存在を見つけること、そしてそこに向けて的確に
情報発信すること、この3つがターゲティグ成功のカギに
なるのではないかと思います。
あなたの存在を「私のための整体師」と思ってくれる人が
必ずどこかにいるはずです。
そういうお客様に出会いエンゲージメント(継続的な関係)を
結べるかどうかで、あなたの仕事の価値が決まるのではないで
しょうか。


