「感覚と直感、理論と分析」①
2012.01.16
「周りの人たちから見ると、
ぼくの経営のやり方は非常に客観的で論理的な感じがする、
とよく言われる。だが実は、自分ではまったく反対に、
感覚的・直感的な言動や意思決定が多いと思っている。」
(柳井正「成功は一日で捨て去れ」より)
昨今、心理学界では「二重プロセス理論」というものが
注目されています。
これは、人間の持つ情報処理システムは2つあり、
1つ感情的・直感的・感覚的で、あまり労力を使わないもので、
もう1つは理論的・分析的・統制的で労力を要するものだそうです。
つまり、人はこの2つを状況に応じて使い分け、様々な情報を
処理しているのです。
このどちらも重要ですが、どちらかというと後者の方が
優れているイメージがありませんか?
いつも物事を直感で決め、感情的に振る舞っている人よりも、
理論的・分析的に考える人の方が優秀に見えるのではないでしょうか。
しかし、冒頭に引用した言葉の通り、ユニクロの経営者・
柳井正さんは自らの経営の仕方を「感覚的、直感的」だと
公言していますし、近年、心理学や脳神経科学の発展により、
より良い意思決定のために「感情」が重要な役割を果たしている
ことが明らかになりつつあります。
実際、もし人間に感情がなかったら、永遠に物事を決められなく
なるのではないかと思います。
私も感覚的なタイプで、物事を直感で判断することが多いですが、
たまに分析的に考えるととたんに迷ってしまい、いつまでも
決断を下せず、周囲からまだ決まらないのかと突っ込まれる
ことがあります(笑)
このように、良い判断をするために直感や感情、感覚などは
不可欠ですが、整体という仕事をする上では特に重要だと思います。
もっとも、人の身体に触れる仕事ですから、筋肉や骨格のしくみ
など理論的なことを知悉していなければなりませんが、
人の身体は一様ではありませんから、こうすれば必ず効果的な
施術ができる、というアルゴリズムのようなものはありません。
それに、タイム・プレッシャーがある施術の中で、理論にこだわり
分析しながらやっていては、出したい結果のほんの数%のことしか
できないでしょう。
そうすれば、整体師としての成長は行き悩んでしまいます。
一方、「なんとなくこう思う」、「このあたりにコリがありそう」、
「こうすれば症状が取れるのではないか」という根拠のない直感
を信じることによって、一足飛びに結果を出せることもあるのです。
こうした、「なんとなく」とか「たぶんこう」というあいまいな推測
から正解を出す能力は、コンピュータより人間の方が上です。
ただし、もちろん安易に直感や感覚だけに頼って施術をすれば良い
というものではありません。それが絶対に正しいと妄信することは
危険です。
私が思うには、まず感覚で目安を付け、それをもとに精妙な施術を
組み立てることがベストです。
そして、「経営」にもまったく同じことが言えます。
柳井正さんも、感覚や直感は大切だけれども、それだけではダメで、
分析的に考えることももちろん必要だ、という趣旨のことを
言っています。
つまり、経営には「賭け」の要素が含まれていますし、迅速な決断
が求めらるので、直感なくしてできるものではありませんが、
厳密にデータを取って分析したり、成功や失敗から法則を
見つけ出し、未来につなげていくことも欠かせないのです。
ですから、感覚と直感、理論と分析のバランスを取ることが
何よりも大切なのではないでしょうか。
感覚・直感で決定し、理論・分析で調整する。
これが理想です。
ゴルフに例えるなら、最初は難しく考えずに良い結果を求めて思いっきり
打つ。そしてホールに近づくに連れ、緻密に計算しながら
いかにして結果を出すかを考えて打つ。こういうことです。
さて、次回のコラムでは「感情と直感、理論と分析」というテーマ
をもう少し掘り下げて考えてみたいと思います。
次もお読みいただければ幸いです。


